建築士とは?
建築物の設計および工事監理を行う職業の資格です。一定規模以上の建築物を設計するにはこの資格が必要であり、日本に建っている、ごく小規模なものを除き全ての建築物の設計や申請には必ず建築士が関わっています。
もちろん国家資格であり、受験資格を満たし、難易度の高い試験に合格しなければ、習得することはできません。
設計に必要不可欠な資格ですが、施工管理に携わっている方も取得している方もおり、建築のプロフェッショナルとしての名刺代わりにもなります。
どんな種類があるの?
建築士には、一級建築士、二級建築士、木造建築士の3種類があり、建築物の規模や構造によって設計・工事監理できる建築物に違いがあります。
また、管理建築士という、建築士事務所を開設する際に必要な資格を得るには、上記のいずれかの資格を取得している必要があります。
さらに、一級建築士資格を前提とした資格として構造設計一級建築士と設備設計一級建築士の資格があります。
受験資格は?
それぞれ受験する資格によって異なります。受験資格の詳細については色々細かく定義されていますので、受験を考えている方は、間違いなく受験資格を満たしているか、公益財団法人 建築技術教育普及センターのホームページより受験要綱をご確認ください。
また、2020年3月1日施行の法律により、受験資格が大きく変わりました。
こちらでは、簡単に紹介します。 受験資格には学歴と実務経験の2種類あります。
木造建築士及び2級建築士
大学や高校などの建築科を卒業していると、実務経験が必要なく受験可能です。学歴がない場合は7年の実務経験が必要です。
1級建築士
大学や高校などの建築科を卒業していると、実務経験が必要なく受験可能です。
学歴がない場合は、まず7年の実務経験→2級建築士取得で初めて1級建築士が受験可能になります。
法律の改正で受験資格が変わり、試験自体は受けやすくなっています。しかし、免許を登録するためには実務経験が必要です。
難易度・合格率は?
建築士の試験は、学科と製図に分かれ、学科に合格しなければ、製図を受けることはできません。それぞれの合格率は以下の通りです。
学科 | 製図 | 総合 | |
木造建築士 | 55%程度 | 60%程度 | 35%程度 |
2級建築士 | 40%程度 | 50%程度 | 25%程度 |
1級建築士 | 20%程度 | 40%程度 | 10%程度 |
受験者数は、学科試験は、木造:700人程 2級:19000人程 1級:30000人程で、製図試験は木造:350人程 2級:10000人程 1級:10000人程です。
難易度は、国家資格ですのでどれもそう簡単ではありません。特に1級は建築の資格試験としては最高峰でありとても取得は難しいです。
私の体験談を読んでいただけると、どれほどの難易度かが少しわかるかと思いますので、ご参考にしてください。
何が出来る? 役に立つ?
この資格を持っていなければ、一定規模の建築物を設計・管理することができません。
その為、これらの資格を取得することは、就職・転職・昇給にはとても有利に働きます。また、資格手当が出る場合も多いようです。取得費用を負担してくれる会社も多いようです。
しかし、1級建築士は高難易度の資格であるにもかかわらず、「足の裏の米粒」と揶揄されることもあります。その意味は「米粒を(資格を)取らないと気持ち悪いのに、米粒を(資格を)取っても食えない(食べていけない)」という意味です。
ひどい言いようですが、その通りで、資格を取っただけで安泰なんてことはなく、資格を取った上でなにをするのかが大切で、自分の設計したい建物を設計し、十分に稼げている人は一握りであるというのが現状です。
どんな試験内容なの?
学科試験はいずれも選択問題です。
木造建築士・2級建築士
五肢択一 学科I(建築計画)学科II(建築法規)学科III(建築構造)学科IV(建築施工)の計100問で、各単元と合計点が、その年の合格基準点を満たしている必要があります。
1級建築士
四肢択一 学科I(計画)学科II(環境・設備)学科III(法規)学科IV(構造)学科V(施工)の計125問で、各単元と合計点が、その年の合格基準点を満たしている必要があります。
製図試験は、課題となる建築物と要求図面は事前に発表されており、当日敷地や詳細の内容を見て、プランニングを行い、要求図面を製図します。関連法律違反や構造上欠陥のある設計をすると不合格となります。
どうやって勉強したらいいの?
学科試験の出題範囲は膨大です。また、受験は教育機関を卒業後になりますので、何らかの仕事をしている場合が多いため、勉強時間も限られ、効率のよい勉強方法が求められます。
また、製図は第三者に添削をしてもらうことが重要で、なかなか独学では難しいです。
そのため、資格学校に通う方が多いようです。
私の体験談にその当たりも書いていますので、ご参考にしていただければと思います。
申し込む方法は?
インターネットでの申し込みとなります。
公益財団法人 建築技術教育普及センターのホームページよりご確認ください。
受験資格の部分で卒業証明書等が必要となりますので、十分確認したうえで、余裕をもったスケジュールを組むことをおすすめします。
まとめ
- 建築士は建築物の設計・工事監理を行うために必要な国家資格。
- 一級建築士、二級建築士、木造建築士の3種類があり、設計できる建築物の規模や構造が違う。
- 就職・転職・昇給にはとても有利に
- 試験は、学科と製図に分かれ、いずれも難易度は高め
- 資格学校や通信教育などを利用し、効率的な勉強を
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