CAD利用技術者検定って?
機械及び建築に携わる設計者や設計補助、CADオペレーターなどのエンジニアや学生を対象とした、CAD利用にあたり、身につけておくべき知識と技能を習得及び証明ができる試験です。
大きく分けて3次元CADと2次元CADの2種類に分けられ、CAD利用の知識を問う筆記試験とCADの作図技能を問う実技試験があります。
どんな種類があるの?
大きく分けて3次元CADと2次元CADの2種類に分けられます。
3次元CADはその中からさらに1級・準1級・2級と分かれます。
2次元CADは基礎・2級・1級と分かれ、1級はさらに機械・建築・トレースの3分野に分割されています。
受験資格は?
必要な実務経験や学歴はありません。
ただし、3次元CADの1級及び準1級の受験には3次元CAD2級の資格が必要です。
また、2次元CADの1級の受験には2次元CAD2級の資格が必要です。
まずは、各2級からの受験をしましょう。
難易度・合格率は?
3次元CAD
2級 | 50%前後 |
準1級 | 55%前後 |
1級 | 20~55% |
開催回により合格率が大きく変動しているようです。
また、2級を除くと受験者数がそれほど多くない為、合格率がそのまま難易度には繋がらないのではないかとも思います。
独学も可能かと思いますが、3次元CADの技術習得は、独特な操作方法もあり、何らかの指導を受ける方が一般的かと思います。
2次元CAD
基礎 | 60~80% |
2級 | 50~55% |
1級(機械) | 40~50% |
1級(建築) | 50%前後 |
1級(トレース) | 60~70% |
3次元CADと同様、開催回により合格率が大きく変動しているようです。
同じく2級以外は受験者数がそれほど多くない為、合格率がそのまま難易度には繋がらないのではないかとも思います。
3次元CADに比べ、独学での習得は比較的しやすいと思われます。
また、2級までは筆記試験なので、実際のCAD操作はせず、CADの知識を問う試験なので、独学での対策もしやすいのではないでしょうか。
役に立つ?
これは、他のCAD系の資格や検定などにも言えることですが、資格取得によって就職や昇給、転職で有利に働くことは少ないでしょう。
建築業や製造業で今現在手書きの図面に出会うことはほぼなく、図面はCADソフトを使用して描くことが当たり前になっています。
以前はCADを使える人材は貴重でした。CADソフトも非常に高額で、手軽に習得できるものではなく、CADを使えるだけで重宝されていました。
現在では、無料で使用できるCADもあり、建築業や製造業で仕事をするにあたり、CADを使えるのは当たり前になっています。
ですが、全くの無意味というわけではありません。
漠然とCADを覚えようと思い、CADのコマンドを一つずつ覚えようとしてもなかなか難しいものがあります。
描きたい図面があり、それを描くために必要なコマンドを覚える。といった方法がCADを覚える近道です。
また、この検定では、CAD利用にあたっての基礎知識などを問う筆記試験がある為、技術のみならず知識を得ることができます。
そのため、資格を取ることが目的ではなく、資格習得を通じてCADを使えるようになる。せっかく勉強してるんだから資格も取ってしまえ、という気持ちで受験してみるのはいかがでしょうか。
どんな試験内容なの?
前述にもありますが、実際にCADを使った実技試験と知識を問う筆記試験があります。
3次元CAD利用技術者試験
1級 | |
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試験方法 | 120分 実技試験 ■3次元CADソフトを使用したモデリング(パーツおよびアセンブリ) ■作成したモデルの体積、表面積などを測定し、解答群の中からもっとも近い値を選択し、 マークシートに記入。 |
試験分野 | ■CADリテラシー、形状認識能力 ・文章による手順の指示に従い、パーツモデルを作成する問題。 第三者との口頭によるやり取りや手書き図面情報の伝達をイメージし、 的確にコマンドを使用できるかを問う。 ・2次元図面からパーツモデルを作成する問題。2次元図面から3次元空間上の形状認識が 正確にできるかを問う。 ■アセンブリモデリング能力 ・パーツモデルを作成し、それらを組み立ててアセンブリモデルを作成する問題。 パーツモデルを正しく組み立てることができるかを問う。 ■2次元図面からのパーツモデリング能力 ・2次元図面からパーツモデルを作成する問題。実務の基本的な能力を総合的に問う。 |
準1級 | |
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試験方法 | 実技試験 120分 ■3次元CADソフトを使用したモデリング(パーツのみ) ■作成したモデルの体積、表面積などを測定し、解答群の中からもっとも近い値 を選択し、マークシートに記入。 |
試験分野 | ■CADリテラシー、形状認識能力 ・文章による手順の指示に従い、パーツモデルを作成する問題。 第三者との口頭によるやり取りや手書き図面情報の伝達をイメージし、 的確にコマンドを使用できるかを問う。 ・2次元図面からパーツモデルを作成する問題。 2次元図面から3次元空間上の形状認識が正確にできるかを問う。 ■2次元図面からのパーツモデリング能力 ・2次元図面からパーツモデルを作成する問題。実務の基本的な能力を総合的に問う。 |
2級 | |
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試験方法 | 筆記試験 60分 ■筆記試験(60問) (CBTシステムによる多肢選択方式)※全国にある専用のCBT試験会場で実施 |
試験分野 | ■3次元CADの概念 3次元CADとは、3次元CADの活用、3次元CADの歴史、3次元モデルのデータ構造、 3次元モデルの構成、表示技術 ■3次元CADの機能と実用的モデリング手法 3次元CADによる設計、モデリング機能、実用化の事例、複合化したコマンド、 検査・計測・解析の方法、モデリング手法、アセンブリモデリング、実用上の注意点 ■3次元CADデータの管理と周辺知識 プロジェクト管理、PDM、コンピュータシステムの構成、CADとネットワーク知識、 情報セキュリティ ■3次元CADデータの活用 CAE、CAM、CAT、CG、3Dプリンター、DMU、コラボレーション、 3次元CADデータの応用例 |
2次元CAD利用技術者試験
1級(機械) | |
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試験方法 | 実技試験+筆記試験(25問) 80分 CADシステムを使用した実技問題(DXFデータを保存したフラッシュメモリを提出)と 専門知識を問う筆記問題。 |
実技試験 | ■機構部品の作図 リンク構造、カム構造 ■適切な数値(カタログ、要目表)などからの作図、機械要素部品 ■投影図からの作図 第三角法 |
筆記試験 | ■機械製図の知識 設計技術者に要求される資質、機械製図の基礎、材料、サイズ交差<寸法公差>とはめあい、 幾何公差、表面性状、加工方法、機械要素 |
1級(建築) | |
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試験方法 | ■実技試験+筆記試験(25問) 80分 CADシステムを使用した実技問題(DXFデータを保存したフラッシュメモリを提出)と 専門知識を問う筆記問題です。 |
実技試験 | ■RC図 平面図、断面図、立面図、矩形図、部分図、展開図 ■木造 平面図、断面図、立面図、部分図、展開図 |
筆記試験 | ■建築製図の基礎知識 建築業務の基本知識、建築製図、建築の主な構造、建築の主な材料と部材、 モデュール、建築法規、建築業務と建築図面の役割 ■建築生産の電子情報 情報の伝達と共有、建築CALS/EC/、3次元CAD、コンピュータによるシミュレーション |
1級(トレース) | |
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試験方法 | ■実技試験+筆記試験(25問) 80分 CADシステムを使用した実技問題(DXFデータを保存したフラッシュメモリを提出)と 専門知識を問う筆記問題です。 |
実技試験 | ■編集・レイヤ設定能力 図形の編集、コマンド機能、レイヤ設定 ■トレース能力 図面のトレース ■投影能力 投影関係と形状理解 ※実技試験では、出題される分野の専門知識は必要ないが、図記号、 線種などの知識は必要となります。 |
筆記試験 | ■製図の知識 図面の名称、線の種類と用途、寸法補助記号、図記号(建築、機械、土木、電気) |
2級 | |
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試験方法 | 筆記試験(60問) 60分 (CBTシステムによる多肢選択方式) |
試験分野 | ■CADシステム CADシステムの概要と機能、CADシステムの基本機能、CADの作図データ、 CADシステムとハードウェア、CADシステムとソフトウェア、ネットワークの知識、 情報セキュリティと知的財産、CADシステムの運用・管理と課題、3次元CADの基礎知識 ■製図 製図一般、製図の原理と表現方法、製図における図形の表現方法 |
基礎 | |
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試験方法 | 筆記試験(50問) 50分 (IBTシステムによる多肢選択および真偽方式) |
試験分野 | ■CADシステムの知識と利用 CADシステムの概要と機能、CADシステムの基本機能、CADの作図データ ■CADシステムのプラットフォーム CADシステムとハードウェア、CADシステムとソフトウェア、ネットワークの知識、 情報セキュリティと知的財産、コンピュータの操作、OSの基本操作 ■製図の知識 製図一般、製図の原理と表現方法、製図における図形の表現方法 ■図形 三角形、四角形と多角形、円、三平方の定理、三角関数、立体図形 |
どうやって勉強したらいいの?
独学で学ぶ場合、公式ガイドブックがほぼ必須です。
一般社団法人コンピュータ教育振興協会(ACSP)より購入可能です。
実務ではあまり扱わない内容も出題されることもありますので、公式ガイドブックを購入して、出題傾向を掴み対策するのが、合格の近道でしょう。
申し込む方法は?
受験の申し込みは運営団体のホームページよりインターネットでの申し込みになります。
まとめ
- CAD利用技術者試験は、CADソフトを使っての実技試験と知識を問う筆記試験を行う検定。
- 大きく分けると、3次元CADと2次元CADの2種類に分けられる。
- 受験資格はなく、誰でも受けられる。
- 資格としての価値はそれほど高くはないが、CAD操作やCAD利用の知識を覚えるにはうってつけ。
- 合格率も高めで、難易度はそれほど高くない。独学でも対応可能。
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