一級建築士、合格までの話

一級建築士

こちらは私が一級建築士を受験しようと思った経緯と、取得までの勉強法などの体験談を書いていこうとおもいます。

なんとなく、取りたいなぁと思っていたこと

私は、公立の普通科高校から工業系大学の建築学部を卒業しています。どちらも中堅クラスで、賢い人もそれほどでもない人もいる学校の中の、これまた中の中くらいの成績でした。

当時の受験資格は、2級は大学卒業と同時に得られましたが、在学中に講習を受けるようなことも特になく、そのうち「取れたらいいな」と、その程度の感覚でした。

大学では木造の文化財に興味を持ち、研究室もそういった所に所属していたこともあり、社寺建築に携わっている工務店に就職し現場管理になりました。

当時は、トイレ掃除や職人さんのお茶くみから始まり、積算、木拾い、材料運搬、施工図作成、原寸図作成、材料運搬、現場管理、現場の掃除、職人の手元等々、仕事が忙しく、日曜日にこっそり出て段取りをしていたりと、とても勉強に時間をさける状況ではありませんでした

1級の受験資格である実務経験を満たしてからも、一応受験はしてみるものの、可能性すらもまるで感じないような点数で、「いつかは取れるかなぁ」「せっかく受験資格あるんだから取りたいなぁ」ぐらいで、月日はどんどん経っていきました。

「取りたいなぁ」が「取らねばならない」に変わったこと

いい歳になり、当時の彼女と結婚をしようと思い、ご両親にあいさつに行ったところ、

「どこの馬の骨かも分からん男に娘はやらない、せめて1級建築士でも取ってきてから出直せ」

的なことを言われました。(昔の話なので、両親が聞いたらそんなことは言っていないと言われそうですが)

さぁ大変です。忙しさにかまけて勉強なんてほとんど出来てなく、直近の試験でも箸にも棒にも掛からぬ状態だったのですから。

「取れたらいいなぁ」から「取らなければならない」状況に変わりました。

このまま「ただただ頑張る」では取れない。自分は中の中なのだから、賢く要領の良い人とは違うのだ。全てを投げうってでも勉強に力を入れなければ取れない

色々考えた結果、今の仕事に見切りをつけ、アルバイトをしながら1級建築士を取るまでは頑張ることに決めました。27歳の頃でした。

学科試験で実践した勉強方法

お金もなかったこともあり、独学での合格を目指しました。

まずは、教科書の入手です。闇雲に本屋で探していてもどれが良いものか分からなかったので、某資格学校のテキストをオークションにて入手しました。最新ではないものが結構出ていたりします。

受験者の大多数がいずれかの資格学校を利用しての受験をしているので、そこのテキストであれば片手落ちということもないだろう、と考えたからです。

私は、次の方法で勉強を行いました。

  1. テキストを一通り読む。覚えられなくてもよいので、とにかく一通り読む。
  2. 過去問を解きながら、テキストの内容を覚える。
  3. 繰り返し過去問を解き続ける。

まずは、全体像を掴むため、テキストを一通り読みます。一字一句というよりは、流し読みで、「へ~こんなのがあるんだ」という程度で構いません。

私の場合、当時の仕事柄、木造建築以外の知識がほぼありませんでした。ただ、1級建築士の試験範囲において、木造に関することはほぼわずかです。ほとんどが初対面の単語ばかりでした。

そのため、全体のボリュームと出題範囲を知るために、まずはテキストを一通り読むという方法を取りました。

ここが一番辛いです。わからないことだらけ。読めども読めども終わらない。受かる気が全くしない。

それでも、ここで一度テキストを読んでいることは、とても重要です。

次に、過去問をテキストを片手に解いていきます。当然一度流し読みした程度ですから、解けるわけはありません。ですが、初対面ではないので、「テキストのどっかに書いてあったかも、覚えてはないけど」ぐらいにはなっています。

ここで初めて覚えていくという作業をするのです。

最後は簡単です。問題文を読めば選択肢を全部見なくても答えられるようになるぐらいまで、ひたすらに過去問を解いていくだけです。そうすれば時間との勝負になる「法規」も、時間内に解き切ることが出来るようになります。

偉そうに書きましたが、私は結果的に2年かかりました。1年目は勉強法3の過去問をひたすら解いている途中でタイムアップとなり、2点足らずに落ちました。

勉強、特に資格試験の勉強において、インプットだけではダメです。重要なのはアウトプット。繰り返し問題を解くということは、記憶したものを問題と照らし合わせ、正解の解答を導き出す、という訓練を行うこと。これを行うことで、試験当日問題を解けるようになります

2年目では、勉強法1.2.3を十分な時間で行うことが出来たため、120点近い点を取り合格することができました。

家じゅうの壁に貼ってあった構造力学の公式を書いた紙とも、ようやくさよなら出来ました。

設計製図

ほぼ独学で受かった1次試験ですが、2次試験はよほど自信がない限り、資格学校に通うことをお勧めします

独学では受かるための情報が圧倒的に足りません。細かい採点基準が公表されていない為、自らで添削を行うことは困難です。

合格するためのポイントは、とにかく描きまくることしかありません。

私は学生の頃から設計製図が非常に苦手でした。嫌いと言っても過言ではなかったと思います。ただ幸い定職についていない為時間だけはありました。

初めの頃は1枚の図面のトレースだけで5時間。1問プランニングするのに1日かかっても要綱を満たすものができなかったりと散々でした。

ただとにかく時間はあったので、ひたすらに描き続け、試験日1週間前にようやく、時間内に課題を描き切ることが出来ました。

合格する自信はほぼなかったですが、ひたすら描きまくったおかげか、試験当日は時間に余裕をもって描き切り、運よく一発合格することが出来ました。

学科とは違い、運よくたまたま合格出来た感じなので、あまり自信満々には言えませんが、やはりとにかく描いた数が合格につながるのではないかなとおもいます。

まとめ

以上が、私の1級建築士の合格までのお話です。

仕事を辞めてまで取るというのは、よほどのことがない限り参考にしない方が良いと思いますが、難関資格であればあるほど、

「取らなければならない」

と思わなければ、合格は難しいと思います。その究極が私でした。

この記事を読んでくださった皆様も、重い腰を上げて

「取れたらいいな」から「取らなけらばならない」

と気持ちを入れ直して、勉強していただければ、合格もそう遠くはないと思います。

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